2022年6月4日、「みんなでつくろう、これからの医療プロジェクト みんつくゼミナール2022第1回『思い込み』と『すれ違い』を無くそう」を開催しました。
本プロジェクトでは、医療に関わる様々なステークホルダーの相互理解を目的に、「みんつくゼミナール2022」と題してセミナーを開催しています。
① 事例紹介 もしかしてあるある? 医療をとりまく「思い込み」と「すれ違い」
最初に、認定NPO法人希望の会 轟浩美氏より、医療現場や日常生活で起こる「思い込み」と「すれ違い」について、事例を交えながら紹介いただきました。
これからの医療をみんなでつくっていくはじめのステップとして、誰しもがもつアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見・思い込み)を見つめることの重要性が確認されました。
② 講演「異なる立場の人が理解しあうということ」
続く講演では、講師に公益財団法人がん研有明病院腫瘍精神科部長 清水研氏をお迎えし、「異なる立場の人が理解しあうということ」についてお話いただきました。
異なる立場の人が理解しあうということを、1.事実の捉え方、2.安全で生産的な組織、3.信頼を高める方法としての共感と対話、4.異なる意見を伝えるアサーティブなコミュニケーションの4つの要素に分けて解説いただきました。ケアや医療の中での事例にとどまらず、清水先生ご自身の体験も交えて、共感やコミュニケーションについてお話いただきました。
様々な背景・立場の人が関わる組織や医療現場では、時に理解や共感が難しい時もあります。清水先生がしばしば問いかけられる「あなたに私の気持ちがわかるんですか?」という問い。先生は、「わかっていないかもしれません。でもわかりたいです」とお答えになるそうです。理解しようとする姿勢を持ち続けることの重要性を教えていただきました。
③ ディスカッション さまざまな立場から考える「思い込み」と「すれ違い」について
ディスカッションでは、ピーペック代表 宿野部武志がモデレーターを務め、PPHプロジェクトに参画する様々なバックグラウンドをもつメンバー5名での議論が交わされました。
講演を受けて、患者活動や当事者としての活動、企業での活動など日ごろの経験から、「共感」にたどり着く難しさや、必ず発生する理解の「ずれ」を認識する大切さ、立場の違う人を理解するにはコミュニケーション能力や相応のトレーニングが必要であるという意見も出されました。
同じ方向を向く仲間だと認識している場の中では、相手のことを理解しようとアサーティブ(自分も相手も尊重して意見を伝える)なコミュニケーションが生まれます。だからこそ、こうして立場を超えて議論し合える場が必要だと確認されました。轟氏や清水先生の「思い込み」の問題提起を受け、わかりあえないことをネガティブにとらえること自体、バイアスではないのかといった新しい考え方も提示されました。
また、ディスカッションの中で、患者はデータではなく、関心を寄せてほしいのは「病気」ではなく自分自身であるという意見がありました。一方で、医療従事者も個々の人であり、ひとりの人間としてみてもらうことが大事であるとの意見も寄せられました。終了後の参加者アンケートでも、病気主体ではなく、その人自身に照準を合わせた薬・サービスの研究開発が求められていることに対し、新たな気づきがあったという声を多くいただきました。
立場を超えた意見が交わされ、新たな視点からの見方に至った活発なディスカッションの時間となりました。
今後みんつくゼミナールは4回開催予定です。開催決定後ウェブサイト等でご案内いたします。ご登壇・ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
【開催概要】
「みんなでつくろう、これからの医療プロジェクト みんつくゼミナール2022第1回『思い込み』と『すれ違い』を無くそう」
▪開催日時:6月4日(土)13:00~15:00
▪開催方法:Zoomウェビナー
▪プログラム
<事例紹介>:もしかしてあるある?医療をとりまく「思い込み」と「すれ違い」
<講演>:清水研氏(公益財団法人がん研有明病院腫瘍精神科部長)
<ディスカッション>:みんなでつくろう、これからの医療プロジェクトメンバーによる、さまざまな立場から考える「思い込み」と「すれ違い」について
<主催>一般社団法人 ピーペック みんなでつくろう、これからの医療プロジェクト
<共催>グリーンルーペ / 認定NPO法人 希望の会/NPO法人 患者中心の医療を共に考え共に実践する協議会(JPPaC)
<協賛>アステラス製薬株式会社/EAファーマ株式会社/第一三共株式会社/武田薬品工業株式会社/日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
【今後の開催予定】
決定次第ウェブサイト等でお知らせします。以下のようなテーマを予定しています。
・PPH プロジェクト ルールブックチーム制作「病気をもつ人とライフサイエンス企業の協働ガイドライン」を知ろう
・健康とは?医療とは?それぞれの立場で考えよう
・ペイシェントジャーニーから考える「あの時、必要だったこと」
・医療における「情報発信」に必要なことを考えよう
<形式> オンライン(アーカイブ動画配信あり)
<参加費> 無料
<対象> 病気をおもちの方、ご家族、患者会(患者支援団体)の方、ライフサイエンス企業の方、医療者、研究者、興味のある市民