"みんなでつくろう、これからの医療プロジェクト"
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お知らせ

【開催報告】みんつくゼミナール 2023 第1回 を開催しました

10月1日、みんつくゼミナール2023第1回「患者の”こえ”で、社会を動かす」を開催しました。

2021年よりピーペックが主宰しているみんなでつくろう、これからの医療プロジェクト<People’s Power flow into Healthcare : PPH>は、病気をもつ人、ライフサイエンス企業、医療者、研究者といった立場の異なる人たちが協働し、これからの医療についてディスカッションや公開イベントを通して一緒に考え、病気をもつ人視点の医療・サービスをみんなで創るプロジェクトです。病気をもつ人主体の治療・薬・サービスを「あたりまえ」にすることを目指して活動しています。

本プロジェクトでは、医療に関わる様々なステークホルダーの相互理解を目的に、「みんつくゼミナール2023」と題してセミナーを開催しています。病気をもつ人、支援者、患者会関係者、ライフサイエンス企業関係者など総勢80名弱の方にご参加いただきました。

「患者の”こえ”で、社会を動かす」 

最初に、一般社団法人CSRプロジェクト 代表理事 桜井 なおみ氏より、患者のこえが社会を動かした例について、ご自身の体験を基にご講演いただきました。

がんを罹患する前は、まちづくりや調査に取り組んでいたという桜井さん。働きながらがんの治療を経験し、患者会での活動も同時に行っていました。がんの再発もあり、二足のわらじから患者会活動に専念します。
桜井さんの自己紹介はこちらから(アーカイブ動画)

患者のこえや経験に対し、正当な対価を得るために、患者の株式会社(キャンサー・ソリューションズ)を設立し運営すると同時に、患者支援団体(CSLプロジェクト)をボランティア活動として行っています。がんにまつわる社会的な課題は数多くありますが、その課題を前提として、課題の上で活動するのではなく、課題の根本的な解決を目指して活動をされています。

たくさん課題がある中で最初にご紹介いただいたのが、傷病手当金のあり方です。なぜ分散化して受給できないのか、全く働けないことが前提なのは何故なのか、といった素朴な疑問を可視化し、実際働く患者の声を丁寧に調査し、メディアも活用しながら政策を動かしたプロセスを紹介いただきました。
素朴な疑問を可視化する(アーカイブ動画)

調査結果や法律の官民格差等を踏まえて提言をすることにより、傷病手当金はいわゆる全世代型社会保障のテーマの一つとして扱われ、現在は通算で取得できるようになりました。

一人一人の小さな声、どうしてこうなのだろうという素朴な声を可視化し、根気強く提言、要望していくことが重要だとわかります。様々な社会課題を解くためのヒントは現場にあるため、日ごろの支援活動や電話相談などの活動を、桜井さんはとても重視していらっしゃいます。
また、これからの課題として挙げられたのが子育て支援です。例えば産休育休中の社会保険の免除制度は、がんや他の疾病で治療をしている当事者や雇用する企業へ拡大できる可能性があります。法律の運用を拡大するという要望のあり方の重要性を教えていただきました。

こうした社会保障の改革において、社会モデルの側から制度を変えることが必要です。
健康な人が健康なまま動けることの既得権は可視化されません。そうしたことからも、私たち当事者が発信し、社会とかかわる、かかわり続けていくことは、「健康な人」にとってもインパクトがあります。

最後に桜井さんが目指しているものについてご紹介いただきました。簡単に飲めるが個性が表出されない「野菜ジュース」ではなく、色々なものが入っていて、丸ごと一つになっている、ひとつひとつの味も美味しい「野菜サラダ」のような社会を目指したい。病気の種類も、介護も子育ても、性的マイノリティもそうでない人も包摂する、インクルーシブな社会を目指したいということです。
これからの社会(アーカイブ動画)

「患者が”こえ”を出していくことの大切さと意義」について

講演を受けてのディスカッション、質疑応答では、ピーペック代表理事の宿野部武志がモデレーターを務め、PPHプロジェクトに参画する様々なバックグラウンドをもつメンバー2名とピーペックメンバーの矢口教介が参加し、意見交換を行いました。精神疾患当事者特有の症状の表現の難しさをきっかけに、当事者のこえからイラストを用いて選択しやすくしたケース、メンバーの矢口が、就労時間中もヘルパーを使えるように自治体に要望し、実現した話などが紹介されました。
ディスカッションはこちらから(アーカイブ動画)

どの事例も、大変な状況にあり、こえを出すのも難しい当事者に力を与えるのは、似たような体験をしている当事者の声であると確認されました。そうしたこえを届けるためにも、対話の場を創っているプロジェクトのメンバーの活動も紹介いただきました。自治体の地域間格差の話題では、ネガティブな側面もある一方で、前例を共有することで他の地域が動きやすくなるという側面も確認されました。

質疑応答では、PPIを考える上でのアウトカムのあり方や、告知直後の心境、調査実施時におけるスティグマや差別の扱い方、多様性に対する考え方についてご回答いただきました。

私たちピーペックは、どうしようもある世の中の実現に向け、立場の異なる人たちとの創造的な対話や交流を通して、私たちのこえを届けられる人を増やし、みんなで、これからのより良い医療を作っていくために活動しています。本プロジェクトに参画ご希望の方は、「お問い合わせ」よりご連絡ください。

開催概要

■開催日時:2023年10月1日(日)12:00~14:00
■開催方法:Zoomウェビナー
■参加費:無料
■プログラム:
<講演>「患者の”こえ”で、社会を動かす」  講師|桜井なおみ氏 (一般社団法人CSRプロジェクト代表理事)
総合司会|宿野部武志

■主催:一般社団法人ピーペック
■協賛:アステラス製薬株式会社、EAファーマ株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、第一三共株式会社、大正製薬株式会社、武田薬品工業株式会社、鳥居製薬株式会社、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社、ノバルティス ファーマ株式会社、ファイザー株式会社、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

アーカイブ動画