12月3日、みんつくゼミナール2023第2回「共に創る”よりそう治験”のカタチ」を開催しました。
2021年よりピーペックが主宰しているみんなでつくろう、これからの医療プロジェクト<People’s Power flow into Healthcare : PPH>は、病気をもつ人、ライフサイエンス企業、医療者、研究者といった立場の異なる人たちが協働し、これからの医療についてディスカッションや公開イベントを通して一緒に考え、病気をもつ人視点の医療・サービスをみんなで創るプロジェクトです。病気をもつ人主体の治療・薬・サービスを「あたりまえ」にすることを目指して活動しています。
本プロジェクトでは、医療に関わる様々なステークホルダーの相互理解を目的に、「みんつくゼミナール2023」と題してセミナーを開催しています。
病気をもつ人、支援者、患者会関係者、ライフサイエンス企業関係者など総勢76名の方にご参加いただきました。今回は、第一三共株式会社との共催セッションという形で開催しました。
「誰のための治験? ~創り手・受け手・社会がよりそう治験環境を創るために~」
最初に、がん研有明病院 治験コーディネーター 山崎真澄氏より、治験の現場から、治験の創り手の想い、受け手の想い、社会の役割についてお話いただきました。
例えば創り手には研究所、製薬会社、CRO、ベンダー等がありますが、共通の思いとして効果が高く副作用の少ない薬を早く届けたいというものがあります。
ただ創り手の対象は化学物質で止まっていることも多く、その先の本来の対象である「ひと」にフォーカスした開発が必要です。
被験者そして被験者の家族や、被験者を支える人達、受け手の思いは、やはり回復したい、症状がよくなってほしいということです。治験はルールがたくさんありますが、その必要性やわかりづらさから、恐怖や不安を感じることも多くあります。被験者に寄り添える新薬開発、環境整備が必要です。
社会の役割として、治験だけでなく、情報発信の体制や医療の地域格差や就労環境など、治験の周囲の環境整備も重要です。
海外においては、登録しておくとマッチした試験の連絡が入ったりするシステムもあるとのことで、自ら検索しなければならない日本の状況との比較もありました。
いち早く安全で効果のある薬剤を平等に必要な人々へ届けるために、それぞれの立場でこれから必要なこと、「ひと」に寄り添うことの重要性を教えていただきました。
当日は山崎さんの幅広いご経験から、それぞれの想いについて丁寧にお話いただいています。アーカイブ動画をぜひご覧ください。
「みんなが求め、求められる治験とは何か」について
講演を受けてのディスカッション、質疑応答では、ピーペック代表理事の宿野部武志がモデレーターを務め、第一三共株式会社 研究開発本部 田中 亮一氏、PPHプロジェクトに参画するライフサイエンス企業 大木 翔太郎氏、病気をもつ当事者家族の轟 浩美氏、ピーペックメンバーで病気をもつ当事者大村 詠一が参加し、様々なバックグラウンドをもつメンバーで意見交換を行いました。
治験の情報をどのように広めていけばいいかについての議論では、治験自体の啓発や、様々な媒体からの発信、プッシュ型の情報発信の必要性、患者団体の重要性についても話し合われました。他にも治験を受けた方どうしの繋がりや、医師からの情報が限られている現状についての意見もありました。
山崎さんのお話の中で、それぞれの立場からの景色を共有いただきましたが、今回のような対話の場、情報のあり方について考える場がこれからも必要であることが確認されました。
私たちピーペックは、どうしようもある世の中の実現に向け、立場の異なる人たちとの創造的な対話や交流を通して、私たちのこえを届けられる人を増やし、みんなで、これからのより良い医療を作っていくために活動しています。
アーカイブ動画
準備中です。
開催概要
開催日時:2023年12月3日(日)12:00~14:00
開催方法:Zoomウェビナー
参加費:無料
プログラム:①講演:山崎真澄氏(がん研有明病院 ゲノム診療部 がんゲノム医療コーディネーター 企画戦略部 CRC)、②ディスカッション
主催:一般社団法人ピーペック みんなでつくろう、これからの医療プロジェクト
共催:第一三共株式会社
協賛: アステラス製薬株式会社、EAファーマ株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、第一三共株式会社、大正製薬株式会社、武田薬品工業株式会社、鳥居製薬株式会社、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社、ノバルティス ファーマ株式会社、ファイザー株式会社、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社